遠藤寛士さんが企業家研究フォーラム賞(論文の部)を受賞しました。

2020/08/03

20200711_photo.jpg2020年7月11日・12日、企業家研究フォーラム2020年度年次大会がオンラインで開催され、本学の大学院生である遠藤寛士さん(一橋大学大学院経営管理研究科博士課程)が、栄えある企業家研究フォーラム賞(論文の部)を受賞しました。企業家研究フォーラムは、企業家や企業家活動(アントレプレナーシップ)を対象とする学会であり、この分野において最も優れた作品が同学会賞の対象となります。

遠藤さんは、社会人としての経験を経て、一橋大学大学院(旧:HMBA、現:経営分析プログラム)に進学しました。そこで経営学研究の面白さに出会い、2017年にMBAを取得した後、博士課程に進学しました。現在、同課程において博士論文の執筆に取り組んでいます。

今回、遠藤さんが受賞した論文は、「日本交通の組織変革:川鍋一朗によるサービス差別化と組織メンバーの主体性喚起」と題するもので、日本を代表するタクシー企業である日本交通で行われた組織変革をテーマとしています。同社がバブル期以後の長期低迷に悩む中で、創業家3代目の川鍋は、タクシー業界でサービス差別化を狙うという常識破りの「黒タク」のコンセプトを打ち出しました。しかしながらこれは組織的な統制に服することを嫌うタクシー乗務員の世界において、当初は容易に受け入れられるものではありませんでした。しかしながら実際にこのビジネスが始まると、努力や工夫が評価され、顧客に感謝されることに喜びを覚えた乗務員たちの、タクシーサービスに対する態度と行動が大きく変わっていきました。最終的にはそのことで同社の業績は回復し、また同社でそれはその後も新しいサービス差別化が生まれる原動力になりました。受賞の際の講評では、同論文は「日本交通の組織変革の事例を丹念に追いながら、組織アイデンティティ論を援用しつつ、組織メンバーの主体性の喚起を取り入れ、新たな組織変革論を目指す野心的な取り組み」との高い評価を受けています。

20200711_photo2.jpg 一橋大学大学院経営管理研究科(HUB)は、日本における商学・経営学研究者の教育の拠点として、これまで数多くの研究者を輩出してきました。東京商科大学の伝統を引継ぎ、日本で最も歴史ある商学・経営学教育機関として日本の研究をリードしてきた本学は、その教育を通じて幾多の優れた実業家のみならず、優れた研究者を全国の大学に数多く提供しています。今後も社会科学分野で研究者・大学教員を目指す人々に対して、一橋大学大学院は魅力ある教育を提供します。