沼上幹教授が紫綬褒章を受章しました。

2021/11/04

沼上幹教授
沼上幹教授

このたび2021年秋の褒章受章者が発表され、沼上幹教授が紫綬褒章を受章しました。
紫綬褒章は「科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方」(内閣府)に対して授与される褒章で、経営学分野における沼上先生の功績が評価されました。

沼上先生は、1999年に発表した『液晶ディスプレイの技術革新史:行為連鎖システムとしての技術』(白桃書房)が翌2000年に組織学会高宮賞(著作部門)、エコノミスト賞、日経・経済図書文化賞を受賞するという快挙を成し遂げました。さらに2000年に発表した『行為の経営学:経営学における意図せざる結果の探究』(白桃書房)において新たな研究方法論を確立し、多くの研究者および大学院生が依拠する礎を築いています。その研究方法論の考え方については国際的な一流査読誌でも論文発表され、高く評価されました。近年も『小倉昌男:成長と進化を続けた論理的ストラテジスト』(PHP研究所、2018年)が企業家研究フォーラム賞を受賞し、長きにわたって経営学の発展に大きく貢献し続けています。

上で紹介した三作の詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。
『液晶ディスプレイの技術革新史:行為連鎖システムとしての技術』(白桃書房、1999年)
『行為の経営学:経営学における意図せざる結果の探究』(白桃書房、2000年)
『小倉昌男:成長と進化を続けた論理的ストラテジスト』(PHP研究所、2018年)
 

沼上先生が確立した研究方法論の考え方に関する国際的な業績については、以下の論文をご覧ください。
Numagami, T. (1998). The infeasibility of invariant laws in management studies: A reflective dialogue in defense of case studies. Organization Science, 9(1), 2-15.

沼上幹教授に紫綬褒章受章のごあいさつをいただきました。

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ごあいさつ

沼上 幹

この度図らずも紫綬褒章受章の栄に浴し,身に余る光栄と感激しております.

今回,偶然私が受章させていただきましたが,この受章は私一人のものではなく,本学の知的伝統が評価され,大学としていただいたものだと理解しております.私自身は今から約40年前に経営管理研究科(当時は商学研究科)に進学し,卓越した経営学の諸先生から厳しくご指導をいただいて参りました.1人ひとりお名前をあげることは差し控えさせていただきますが,多数の優れた恩師の謦咳に接することで,社会科学としての経営学を研究するための貴重な知的資産を受け継がせていただきました.一橋大学の経営学は,時代の流行を追うことなく,深みのある研究の蓄積と新しいコンセプトの創造を同時に追求してきました.表層的な現象の背後に潜むメカニズムを探究すること,意図の上では合理的に行なったはずの行為が生み出す意図せざる結果を解明すること,方法論にまでさかのぼって体系的な学問を構築するべく深く思考すること,常に自らの学問を根本から見直してその意義を問い続けること.本学の経営学は,こうしたことを大切にして研究を積み重ねてきました.私自身は恩師たちからの要求水準に十分に達したとは申せませんが,それでも何とかその方向を目指して努力を重ねて参りました.また,私と同様に一橋大学の知的伝統を受け継ぎ,同じ方向に向かって日々努力を重ねる同僚たちに囲まれて研究を続けてこられたことを私は誇りに思っております.

恩師や同僚ばかりでなく,日々,日常的な授業の中で大変優秀な学部学生と大学院生たちと対話をすることができること,多数の優れた経営者の方々と研究・教育の場面で直接対話できることも一橋大学の経営学者が享受できる素晴らしい特典だと思っております.結局のところ,学問は質の高い厳しい対話の中でしか磨かれることはありません.そのような対話ができる環境を与えてくれた商学部・経営管理研究科には心から感謝しております.

また,学部・大学院合わせた学生時代にも,教員として勤務するようになってからも,本学の優れた事務スタッフと助手の皆さんからの手厚いご支援を受けてきたことにも,この場を借りて感謝したいと思います. 今回の章は,このように,一橋大学の知的伝統に授与されたものだと思っております.皆様からの長年のご指導とご支援に,心から感謝致します.本当にどうもありがとうございました.

令和3年11月25日