SBAのチームが日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)2021で特別賞を受賞
緻密な分析に高い評価

2022/01/13

2021年10月17日、日本ビジネススクール・ケース・コンペティション(JBCC)2021において、一橋ビジネススクール経営管理専攻(School of Business Administration: SBA)の鈴木奨チームが、DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー賞を受賞しました。12回目の開催となったJBCC 2021には、史上最多の215チームが参加。鈴木チームは予選を勝ち抜き(20チーム)、セミファイナルも突破(5チーム)、そしてグランドファイルで見事、特別賞に輝きました。その鈴木チームのメンバー5人に、受賞に至った要因や、一橋MBAでの学びがどう生かされたかについて語ってもらいました。

社会人、新卒を含む多様なメンバーでチーム結成

鈴木チームのメンバーは、社会人学生である鈴木奨さん(企業派遣:日本生命)、賴泰弘さん(同:IHI、技術系)、一橋5年一貫生の庄司浩人さん、福原健汰さん、茨城大学卒業後に新卒で入学した青木玲奈さんの5名。「多様性」を最重視してチームを結成したというだけあって、経営分析プログラム(国立)1年という共通点を除けば、文字通り多彩なメンバーです。

7月中旬に課題が発表されて以後、8月中旬の予選締切に向けて、多い時は週に2、3回、各3〜4時間のオンラインミーティングを実施。9月中旬に本戦出場が決まって以降も、週に2、3回程度のミーティングが重ねられました。「日中は大学院の講義や課題をこなし、仕事と子育てもしつつ、夜の9時頃からのJBCCのミーティングに臨みました」(鈴木さん)。「時々オフラインでも集まり、アイデアの発散などの補完ができたと思う。7月に子どもが生まれ、個人的には育児との両立に苦労しました」(賴さん)。他方、「作りかけの資料をLINEでメンバーに送って、気軽にコメントをもらうことができた」(福原さん)等々、オンラインのメリットも実感されたと言います。

今年度のケース課題は、実在の新技術を活用した金属粉末の開発・製造・販売を行う大学発ベンチャーのCEOの立場から、今後の短期・中期・長期戦略に関する戦略提言を行うというもの。「市場をどこに定めるかに留意し、短期的な打ち手としては既存のドローン事業の拡大、中期では人工関節事業への新規参入を提案に盛り込みました」(庄司さん)。「課題と戦略の整合性、戦略と財務の整合性を意識しました」(青木さん)。「ディープテック・ベンチャーの技術をいかに市場に投入するかは、派遣元企業でも日々直面する課題であり、その困難さは身にしみていました。大きな絵を描くのか、地に足のついた提案をするのか、バランスに配慮して、緻密な分析を心がけました」(賴さん)。

「全ての提案の中で最も緻密に分析」との高い評価

実際、審査員の一人でDIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー賞のプレゼンターでもあった、同誌論説委員の大坪亮氏は、鈴木チームの発表の「緻密さ」を絶賛しています。「全ての提案の中で最も緻密に分析しており、課題の理解、戦略の提案に優れ、実現可能性もある」。

特別賞受賞という結果については、「直前まで優勝すると思っていたので、ちょっと残念に思う」(賴さん)という声がある一方、多くのメンバーが「達成感の方が大きい」と語ります。「非常に誇らしい。課題としては、夢を描き、それを実現するパッションを伝えることの大切さを痛感させられました」(鈴木さん)。「MBAの中でもモチベーションが高い人が集まるJBCCで受賞できたことが嬉しい。課題が見つかったことまで含め、今回の成果」(青木さん)。

「古典講読」などが役立つ、グループワークもカギ

今回のJBCC 2021を勝ち抜くにあたって、一橋MBAのどのような学びが役立ったのでしょうか。鈴木さんと賴さんは「古典講読」を挙げます。「100ページ近い内容をword 2枚にまとめる経験を積んだことが、予選でword 2枚とパワポ12枚に提案内容をまとめる際に生きた」(鈴木さん)。庄司さんは、「『経営戦略』の授業で、様々な要素間のつながりを考察したり、その会社でなければできないことを考えたのが役立った」と述べます。「戦略分析」を挙げるのは青木さん。「現象を構造的に捉える汎用的な力が身につき、JBCCで企業が抱える課題を整理する際に活用できました」。福原さんは、「一橋MBA全般のグループワークの多さがカギ」と述べます。「共に一つの課題に取り組み、考え抜いて何かを決めていく訓練ができていました」。

では逆に、JBCCで得たことはMBAでの学びにどう活かせるでしょうか。残り1年をどう過ごしたいかと合わせて語ってもらいました。「各分野のつながりが理解できたことがJBCCの収穫。2年次には、学んだことをワークショップなどで応用し、実践力を身につけたいと思います」(青木さん)。「あの決勝の舞台に立てて、賞を頂けるほどのレベルのアウトプットを出す過程に携われた。自分に足りない部分に気づけたので、それを埋めることに残り1年は注力していきたいです」(福原さん)。「チームをまとめるプロセスを間近に見られたことが得難い経験。次年度は、自分が何をやりたいのかを突き詰め、就活を本気で頑張りたい。それによりMBAでの学びもより深まるのではと思います」(庄司さん)。「多様な意見を全て統合すると、議論に時間はかかるけれど、最終的なアウトプットが非常にいいものになることを実感できました。『組織や人材を活用しながら、技術をどう生かしていくか』というテーマに、残り1年で自分なりの答えを出していきたい」(賴さん)。「背伸びをして取り組むことの大切さを痛感させられた。このケースの中で使った経営戦略は、もう体にしみついた感覚がある。残り1年では学びの幅を広げ、それを派遣元企業でしっかり生かし、理論と実務の往復運動を実践していきたいと思います」(鈴木さん)

JBCC2021特別賞を受賞したメンバー
庄司浩人さん(向かって左)、賴泰弘さん(左から2番目)、鈴木奨さん(中央)、福原健汰さん(右から2番目)、青木玲奈さん(右)