田頭准教授が代表を務める研究で「助成研究 吉田秀雄賞 常勤研究者の部 奨励賞」を受賞

2023/11/22

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11月9日、田頭拓己准教授(本学経営管理研究科)が代表を務める共同研究「ソーシャルメディアにおける炎上、購買行動と企業行動に関する理論・実証的研究」が、「助成研究 吉田秀雄賞 常勤研究者の部 奨励賞」を受賞しました。同賞は、吉田秀雄記念財団が助成する研究の中から特に優れた成果を褒賞するものです。今回受賞した研究は、松井剛教授(本学経営管理研究科)、原泰史准教授(神戸大学大学院経営学研究科)、松井彩子専任講師(武蔵野大学経営学部)との共同研究で、ソーシャルメディアにおける炎上について、消費者の購買行動と、炎上への参加などのコミュニケーション行動の両方に着目し、理論的に議論するとともに実証的な分析を行っています。

本研究は、近年実務的な重要性が増してきているソーシャルメディアにおける炎上(以下、炎上)の問題に対して、X(旧Twitter)のデータを使った探索的な研究や一般消費者へのアンケート調査を行った実証分析を用いて知見を提供することを目的としています。特に、消費者が製品を購入することを想定しているのか、それともただタイムラインをブラウジングしているだけなのか、という行動文脈の違いによって、同じ炎上の情報に触れたとしても消費者の反応が異なることを中心に議論を行っています。このような消費者の行動文脈による反応の違いについて、消費者の認知心理学理論に基づく仮説と、個人の倫理的意思決定に関わる理論とを用いてそれぞれ異なる研究結果を提示しています。例えば、「X上では炎上に参加し、批判の対象となっている企業への文句を言うが、個人の買い物としては、その企業の製品を買う」というような一見すると一貫性のない消費者行動をその理論的根拠とともに明らかにしました。さらに、これまでの研究では、炎上における企業への批判者と擁護者のみに焦点を絞った考察がほとんどでしたが、本研究では、そのどちらともいえないユーモアを用いた炎上参加者という新たな消費者像も提示しました。

本研究は、現代的なマーケティングにおいて消費者行動に関する新たな知見として貢献するものです。加えて、企業対応に向けた実務的な含意についても議論しています。炎上を新たな消費者行動を可視化する機会として捉え、消費者の態度・行動意図変容に関する理論的議論・経験的知見を提示し、今後のマーケティング・消費者行動研究の理論的基礎となることを期待しています。

代表研究者・田頭拓己准教授

この度、吉田秀雄賞奨励賞という栄誉ある賞をいただくことになりました。本研究プロジェクトを支援していただいた吉田記念事業財団ならびに、非常に丁寧にご審査頂いた審査員の先生方にこの場をお借りして御礼申し上げます。本研究は、ソーシャルメディアにおける炎上という、学術的蓄積が限られているトピックに対して、探索的かつ定性的なアプローチと定量的なアプローチを両方用いて迫るプロジェクトでした。私一人では到底達成できない研究課題でしたが、優秀なプロジェクトメンバーのおかけでやり切ることができました。このような栄誉ある賞を頂いたことに恥じない研究者になれるよう、引き続き尽力して参ります。