2025/09/03
トピックス
石田惣平准教授が、2025年8月25日(月)~28日(木)に福岡大学七隈キャンパスで開催された日本会計研究学会第84回大会において、学会賞を受賞しました。
受賞対象は、東京理科大学・岩澤佳太氏との共著論文 "Budgetary Participation and Top Managers' Earnings Forecasts"(Journal of Management Accounting Research, 37(2), pp.95-120)です。本論文は、アンケート調査とアーカイバルデータを統合した分析により、現場の下位マネジャーによる予算編成への参加が活発な企業ほど、トップマネジメントの業績予想がより慎重になることを示しました。さらに、下位マネジャーの報酬が業績と強く連動する企業では、この傾向が一層強まることも明らかにしています。組織内の管理会計制度と意思決定の仕組みが、外部開示である業績予想にまで波及するメカニズムを実証的に捉え、財務会計と管理会計の接点を描き出した点が評価されました。
受賞コメント
このたびは、日本会計研究学会・学会賞という大変名誉ある賞を賜り、審査委員会の先生方に心より御礼申し上げます。また、本研究に建設的なご助言をくださった多くの先生方、Journal of Management Accounting Researchの編集委員・査読者の皆さま、日頃よりご支援くださる関係者の皆さまに深く感謝いたします。共著者の岩澤佳太先生にも、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
本論文 "Budgetary Participation and Top Managers' Earnings Forecasts" は、現場の知見がトップの見通し形成にどのように影響するかを、日本の上場企業データで検証したものです。予算編成への下位マネジャーの関与が厚い企業では、経営者の業績予想は悲観的になり、さらに現場の報酬が成果に強く結び付くほど、この影響が増幅されることを示しました。管理会計の仕組みが外部向け情報である業績予想に波及するという、財務会計と管理会計の接点を実証的に描いた点が本研究の大きな貢献であると考えています。
本賞を励みに、管理会計と財務会計の架橋となる研究をいっそう前に進めてまいります。ありがとうございました。