【一橋大学の科研費研究】「相談役・顧問制度に関する実証研究」/石田 惣平(経営管理研究科 准教授)

2025/01/20

科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究費」です。ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行います。研究者によるピア・レビューという検証プロセスの利点は、研究計画の妥当性を専門家の視点からより正確に判断できるほか、応募者にとって、同じ分野の研究者に自分の研究がどう評価されるかを知る機会にもなっています。このことは、とりわけ若手の研究者にとって一つのインセンティブになっているといえます。本学の研究環境は研究大学としての文化や風土が根付いており、新規課題採択率は、例年全国1位を獲得しています。

今回は、石田惣平准教授の科研費研究「相談役・顧問制度に関する実証研究」についてご紹介いたします。

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石田 惣平

2016年に一橋大学大学院商学研究科博士後期課程を修了。商学(博士)を取得。埼玉大学経済学部専任講師・准教授、立教大学経済学部准教授を経て、2023年4月より現職。研究領域は、財務会計や財務報告。最近の研究テーマは、(1)トップマネジメントの特性が企業の意思決定に及ぼす影響、(2)相談役・顧問制度の役割と課題、(3)会計数値にもとづく経営者能力の測定、(4)ESGを促進させるためのインセンティブ設計など。最近の主な論文には、"Budgetary Participation and Top Managers' Earnings Forecasts," Journal of Management Accounting Research, 2025、"Management Forecasting Ability and Predictive Ability of Dividend Changes for Future Earnings," Journal of Accounting, Auditing and Finance, 2024、"Earnings Management, Horizon Problem, and Advisor Posts for Retiring CEOs," Pacific-Basin Finance Journal, 2023などがある。

研究テーマ:「相談役・顧問制度に関する実証研究」

研究期間(年度):2021 - 2024  研究種目:基盤研究(B)  審査区分:小区分07100:会計学関連

研究計画:

相談役・顧問とは、社長等であった者がその地位を退いたあと、現役の経営陣への助言や対外活動の支援を行う目的で設けられた役職です。他方、近年では、相談役・顧問が現役の経営陣に対して不当な圧力を及ぼしていることが指摘されており、その削減・廃止が迫られています。このような背景から、本研究は日本企業を対象として、相談役・顧問制度に関するデータベースを手収集により構築し、その役割や問題点を実証的に明らかにすることを試みています。このような多面的な検証を通じて、相談役・顧問制度の在り方に関して、実務的・政策的な含意を得ることができるであろうと考えます。

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