一橋植樹会 学生理事座談会

2025/01/29

本学では、1960年代末に増田四郎学長が当時の国立キャンパスの木々の状態を憂えて保護を提唱したことに応えて植樹運動がスタートし、一橋植樹会が発足しました。以来、50年以上の歴史を持っています。2004年には顧問として福嶋司氏(現・東京農工大学名誉教授)を迎え、一橋大学100年の森プロジェクト(一橋大学国立キャンパス緑地基本計画)が始まりました。苗木を大学に提供するというそれまでの植樹会から、卒業生、現役学生、教職員が集い、定期的に作業に取り組む、新生植樹会として緑の環境保全を支援する活動に取り組んでいます。

今回は一橋植樹会(以下、植樹会)で学生理事として、キャンパスの緑化推進、環境整備のための活動に取り組んでいる、氣田菜那さん(商3年)、田中徳力さん(商3年)、野村優さん(商4年)に、日頃の活動や思いについて話を伺いました。(24年11月に取材)

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植樹会に入ったきっかけは何ですか

野村さん

私は一橋祭運営委員をしていましたが、例年11月に開催する一橋祭に向けて、一橋祭運営委員会と植樹会が合同でキャンパスの草木の手入れ作業をしています。私も1年生の時に参加して楽しいなと感じたことがきっかけで、3年生からは植樹会学生理事としてこの活動に加わっています。

田中さん

私は一橋祭運営委員会にも所属していますが、その先輩方が植樹会にも所属されていて後を継ぐような形で入りました。

氣田さん

私は毎年6月に開催されるKODAIRA祭実行委員会に所属していました。KODAIRA祭でも植樹会と合同で学園祭のためにキャンパス整備をするというイベントがあり、それに参加したのがきっかけです。

植樹会ではどのような活動をしていますか

田中さん

植樹会では月に一度のキャンパス整備の定例作業の後に行われる、参加学生と卒業生との交流会の準備担当をしています。大先輩の方々と現役学生が楽しそうに交流しているのを見ると、私自身もやりがいを感じます。

野村さん

西キャンパスの生協前に花壇がありますが、そこの手入れをしてきました。今年はコスモスやひまわりも植えました。これまで花壇の管理などしたことがなかったので、面白いと感じましたし、新しい体験ができました。また、普段キャンパスを歩いていて、自分たちが手入れをしている花を見てくれている人が意外といて、それがとても嬉しかったです。

実際にキャンパス整備をやってみて大変だと感じることはありますか

氣田さん

特に夏の暑い日とかは大変ですね。けれど、私は日ごろ運動不足が蓄積しているので、月に一度体を動かすいい機会になっています。笑

田中さん

本当に暑い日が一番大変です!

野村さん

大変ではあるのですが体を動かすのもいいですし、そこで久しぶりに友だちに会うのも嬉しいですね。私は4年生で一橋祭の運営委員を引退しているので、植樹会の定例作業に行けば、後輩のみんなに会えます。また卒業生の方も話しかけてくださって、おしゃべりをしながら一緒に作業するのを楽しみにしています。

田中さん

皆さんと同じで、友だちや卒業生と話しながら作業をするのが楽しいですね。よく話題になるのが、一橋大学の昔と今の違いについてです。たまに時事ネタなども話したりしています。

氣田さん

学生時代に寮に住んでいた方とかは、「今ってどんな風になっているの?」とかよく聞いてこられます。

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野村さん

例えば、一橋や国立市の昔の話や僕らが知らない一橋祭について教えてくださったりとか。僕は高校まで北海道に住んでいたんですけれども、「北海道のここ知ってるよ」とか言っていただくこともあります。同郷の先輩であったりするとさらに嬉しいですね。元気で優しい先輩ばかりです。

氣田さん

そうなんですよね。私は東北出身ですけれど、出身地が近いと親近感をもってくださり話が弾みます。高校も一緒だったりすると、今度は母校の話で盛り上がりますよ。

「一橋大学100年の森プロジェクト(一橋大学国立キャンパス緑地基本計画)」とは

氣田さん

一橋大学のキャンパスでは地域の都市化が進み、森が失われつつあるため、手入れしながらあるべき姿の森を残していくことを目指しています。100年プロジェクトという長いスパンの中で私たちができることは、学生時代という短い期間でしかありませんが、次の世代へバトンを渡していく役割を果たせればと思っています。

達成感とか嬉しかったことでは、キャンパスの中で虫取り網を持っている子どもが走っているのを見かけるととても嬉しくなります。それはやはり植生が守られていて、自然環境が適切に保たれているからこそ生物がいる。虫取りは都会ではなかなか味わえないことですし、ハクビシンなども国立キャンパスに住んでいるんですけれど、そんなのを見る経験も他ではできないと思います。そういう環境を作れていることも達成感につながりますね。

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野村さん

顧問の福嶋先生の講演では、植生についての話などをしていただけます。やはり考えさせられるのは、そもそもそうしたことを知っている人がいないと、この先自然を管理できる人がいなくなってしまうんじゃないかということです。僕らだったり、若い人にこうした植樹会の活動のような学ぶ機会があるというのは、大変ありがたいことだと感じています。実際に作業をしてみると、「一年前にきれいに剪定したのにもうこんなに伸びている」と思うことがよくあるので、一年一年をつないで、作業していくっていうことがとても大切なことだと思っています。

氣田さん

この計画自体が2003年、04年くらいから始まっているものなんですけれど、私たちが生まれた頃からやっていて、ちゃんと20年ぐらい引き継がれているっていうのがすごいことだなと感じています。100年と聞くと、ちょっと無理だろうと思ったりするんですけれど、この20年間続いてきた実績があるから今後も100年続くんじゃないかなと期待しています。皆でつないできたというのは本当に素晴らしいことだと思います。

田中さん

私は一橋大学に隣接している桐朋中学校・桐朋高等学校の出身です。この国立市が緑豊かな街だというのは中高生の時から知っていましたし、慣れ親しんだここの自然をつないでくださっている先輩方にはとても感謝しています。学生は2、3年しか参加できないし、それでも僕らがいる間、植生を管理して景観を整えることは可能だと思うのですが、こういう文化を後輩へつないでいけたらなと思います。

野村さん

植樹会自体も卒業生、学生、教職員が協力してやっていこうという趣旨なので、私たち学生の意見もくみ取ってもらえます。年に2回ほど土曜の作業日がありますが、そちらには平日働いていらっしゃる先輩方も参加されていますし、中野聡学長もよくご参加くださいますよね。僕たちも卒業したあともまた参加できればいいなと考えています。普段は卒業生や大人の方と話をする機会がないので、先輩方と話をできること自体が貴重というか、割とここでしかできない交流だと思っています。

今まではキャンパスの風景も当たり前と思っていたのですけれど、いざ作業する立場になると、自然を手入れするってこんなに大変なんだと思い、そこから今まで気にしていなかったものにありがたみを感じるようになりました。そうなると自分たちのやっているものにやりがいが出てきて、それはみんなも同じかなと思います。また、今年度は学生主導の取り組みで、キャンパスにある木のベンチの修復作業をしています。

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経済学部の学生理事と田中さん、氣田さん
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田中さん

ベンチが設置されたのは古いものは僕らが生まれる前なんですよ。作業は植樹会学生理事の代表が主導でやっていて、僕らも授業に支障がない範囲で参加しています。また、植樹会の学生班担当の先輩も付いてくださり、工具での研磨が必要なところなど、大きな作業はやっていただいています。見違えるほど綺麗になった丸太のベンチをぜひ利用してみてください。

野村さん

年間活動の大枠については、植樹会学生班担当の先輩と学生理事の代表と相談されていて、僕ら学生理事は具体的に何をするかという意見を出し合います。例えば、花畑づくりをやるとして、どんな種類の花を植えるか決めるところを担当しています。また留学生も作業に参加されていて、そこでは異文化交流も生まれています。今年は参加学生も増やそうという取り組みもしていて、少しずつ増えてきた感じです。

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後輩の皆さんへ

氣田さん

一橋のアイデンティティの1つに、国立キャンパスの豊かな自然があります。それを守る役割の一端を担えるというのは大変貴重な経験だと思うので、ぜひ植樹会の活動に参加してみてください。

田中さん

景観とか植生を守るというのもすごいやりがいがあることだし、また卒業生との関係が強いというのが一橋大学の大きな特徴で、それを体現しているのが植樹会でもあると思っています。大先輩の方々とともに一橋大学をきれいにしていけたら、とても楽しいと思うのでぜひ活動に参加してみてください。

野村さん

国立キャンパスの豊かな自然を守っていくというのは大事なことだと思いますし、ここでしかできない出会いや交流もあると思うので、それを大切にしてほしいと思います。そして植樹会では学生の意見も尊重してくれるので、積極的に参加して主体的に取り組んでいってほしいと思います。

 

一橋植樹会HP
一橋祭・森のクラフト教室レポート記事