酒井健准教授(経営管理研究科)の論文がBusiness History Reviewの年間最優秀論文賞である The Henrietta Larson Article Award を受賞しました

2026/08/17

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このたび、酒井健准教授(本学経営管理研究科)が、平野貴士准教授(武蔵野大学)とピエール=イヴ・ドンゼ教授(大阪大学)とともに執筆した論文が、Business History Reviewの年間最優秀論文賞である The Henrietta Larson Article Award を受賞しました。

Business History Reviewは、経営史分野において世界で最も権威のある学術誌の一つで、同誌に掲載された論文の中から、その年の最も優れた論文を選び「The Henrietta Larson Article Award」を授与しています。

受賞論文は、こちらからご覧になれます。
Housewives and the Growth of the Japanese Electrical Appliance Industry, 1950-1990 | Business History Review | Cambridge Core

<酒井健准教授のコメント>

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このたび、Business History Review の年間最優秀論文賞である The Henrietta Larson Article Awardを受賞することができ、大変光栄に思います。本論文は、平野貴士氏(武蔵野大学)、ピエール=イヴ・ドンゼ氏(大阪大学)との共同研究の成果であり、多くの方々のご支援に心より感謝申し上げます。

本研究は、日本の高度経済成長期において、主婦が主婦雑誌を通じて家電イノベーションに能動的に関与していたことを、多様な歴史資料を用いて明らかにしたものです。この時代の日本の経営史は、男性の経営者や社員、技術者を中心に語られることが多く、女性、とりわけ主婦は周辺的な存在として描かれてきました。こうした歴史像は、従来の経営史研究が依拠してきた視点や問題関心とも無関係ではありません。海外では現在でも、昭和期の日本の主婦は家庭を支える受動的な存在であったというイメージが少なからず共有されています。

本研究の意義は、消費者が製品開発に関与していたことを明らかにした点だけにあるのではありません。性別役割分業という制約の中にあっても、一部の主婦が企業と積極的に関わり、新たな製品や価値の創出に貢献していた姿を描き出したことで、日本の高度経済成長期をめぐる従来の歴史理解に新たな視点を提示した点にあります。また、企業活動の外側、あるいは周辺に位置づけられてきた主婦たちと企業を結びつける場として、主婦雑誌が果たした歴史的役割を明らかにしたことも、本研究の重要な貢献の一つです。このように新たな視点から歴史を捉え直すことは、私たちが当然視している前提を問い直し、現代の経営や組織をより深く理解することにもつながると考えています。

今回の受賞を励みに、今後も経営組織論と経営史を架橋する研究をさらに発展させ、その成果を世界へ発信するとともに、一橋大学における教育・研究にも還元していきたいと考えています。