【一橋大学の科研費研究】「産業政策によるイノベーション創発の条件」/島本 実(経営管理研究科 教授)

2024/10/31

科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文学、社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究費」です。ピア・レビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行います。研究者によるピア・レビューという検証プロセスの利点は、研究計画の妥当性を専門家の視点からより正確に判断できるほか、応募者にとって、同じ分野の研究者に自分の研究がどう評価されるかを知る機会にもなっています。このことは、とりわけ若手の研究者にとって一つのインセンティブになっているといえます。本学の研究環境は研究大学としての文化や風土が根付いており、新規課題採択率は、例年全国1位を獲得しています。

今回は、島本実教授の科研費研究「産業政策によるイノベーション創発の条件」についてご紹介いたします。

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島本 実

1994年一橋大学社会学部卒業。1999年同大学院商学研究科博士課程修了。一橋大学博士(商学)。2003年~2004年、ハーバード大学客員研究員。2004年より現職。研究上の関心はイノベーションの経営史・政策史にあり、具体的には、再生可能エネルギー、ファインセラミックス、バイオテクノロジーなどにおける産官学連携を通じた組織的な新技術・新産業創出プロセスの歴史的解明を研究テーマとしている。

研究テーマ:「産業政策によるイノベーション創発の条件」

研究期間(年度):2024 - 2028  研究種目:基盤研究(C)  審査区分:小区分07080:経営学関連

研究計画:

本研究は、日本企業の国際競争力の低下の原因を明らかにし、今後の日本の産業政策の方針や、日本企業の技術戦略のあり方に対して提言を行うものです。そのために、本研究は、産業政策、イノベーション政策、スタートアップ政策に焦点を当て、日本のナショナル・イノベーション・システムの変化の歴史をたどります。

日本の産業政策の有効性に関しては研究蓄積があるとは言え、それらの多くは、個別の産業や、特定の時代に焦点を当てており、時代や産業を超えて複数の事例を比較検討するものは多くはありません。そこで本研究は、長期歴史的・産業横断的な分析を行い、国際比較を活用します。